スワロが映画を見た

スワロが見た映画について感想を書いていきます。
劇場映画、DVD、新作、旧作問わず映画のレビューを書きます。
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原題:LILACS/Ветка сирени
製作年度:2007年
製作国:ロシア
上映時間:96分

監督:バーヴェル・ルンギン
原作:――
脚本:マイケル・ドゥナエフ/ルシンダ・コクソン/パーヴェル・フィン
出演:エフゲニー・ツィガノフ/ヴィクトリア・トルストガノヴァ/ヴィクトリア・イサコヴァ/ミリアム・セホン

あらすじ:
名演奏家にして名作曲家のセルゲイ・ラフマニノフ(ツィガノフ)。1917年、ロシアでは革命が本格化してきたが、反革命派のセルゲイはロシアでは生きられないと感じ、アメリカ演奏ツアーの際に妻ナターシャ(トルストバノヴァ)と子どもを連れて亡命する。しかし、アメリカで自立した生活をしたいと思った彼は演奏ツアーに忙しく思うように作曲活動が進まない・・・

感想:
ラフマニノフは大好きな音楽家だ。
デイヴィッド・ヘルフゴットが演奏しているものと
ラフマニノフ自身が演奏している曲は常にiPodに入っている。
(ラフマニノフ演奏は音源が最悪だし、ヘルフゴットの演奏も秀逸とは言いがたいが・・・)

初めて彼の音楽を聞いたのは
ジェフリー・ラッシュがピアニストのデイヴィッド・ヘルフゴットを演じて
アカデミー賞主演男優賞を受賞した『シャイン』。
ピアノ協奏曲第3番が「世界で最も難しい曲」として登場している。
それからくらもちふさこの『ポケットにいつもショパン』でも
主人公がピアノ協奏曲第2番を演奏しており、スワロの愛読書となっている。

ラフマニノフの楽曲にはしばしば超絶技巧が登場し、
「ラフマニノフの曲を完璧に演奏できるのはラフマニノフ自身」と言わしめるほどである。
小学校から高校生までピアノを習っていたスワロも
前奏曲を演奏してみようと試みたが数小節で撃沈。
あのヘルフゴットでさえも神経衰弱に陥ったほどだから
無謀なチャレンジだったと今では思う・・・

そんな大好きなラフマニノフが映画化されたとあっては
ぜひ見なくてはならんだろう、と意気込んだ作品が本作だ。
ロシア人監督がロシア人キャストで製作したmade in Russia。
ロシア作品といえばさほど期待はできないことは覚悟していた。
しかし、それでもあのラフマニノフが
いったいどういう時代背景でどういう人生を歩んできたのか、
あの重厚で流麗な音楽はどうやって生まれたのかを知りたかったのだ。

感想をはっきり言おう。とんでもない駄作だった。

監督はカンヌ国際映画祭で作品が受賞するほどの手腕の持ち主らしい。
しかし、残念ながら本作からはそのようなようすは微塵も伺えなかった。

ラフマニノフはちょうどロシア革命前後の激動の時代を生きており、
革命の動きが険しくなってきてからアメリカに亡命している。
ストーリーはちょうどアメリカ亡命後の初コンサートから始まり、
その後ロシア時代の回想録が挿入される形で進んでいく。

そういう展開の仕方は良いのだけれども、
あまりにも話の要所要所が抜けすぎていて、
これがラフマニノフの物語だと言われても合点がいかない。
彼はその名声とは裏腹に成功とはかけ離れた過去も持っている。
最初の挫折は始めて作曲した「交響曲第1番」のお披露目の演奏会が大コケしたことだ。
失敗のショックから精神衰弱に陥ってしまう。
そのシーンと連動しているのが
アメリカ亡命後に演奏活動に忙しく作曲ができなくなったというシーンだ。
ラフマニノフのこころの中はいろいろな悩みや不安が存在しただろうに、
残念ながら作品からは彼の精神的な部分がまったく見えてこなかった。
内面的描写なくしてこの物語は成立しない。
なぜなら、この作品はアメリカ亡命後がメインなのだから。
彼のあの名曲たちが生まれたエピソードは一切ない。
サブタイトルに「ある愛の調べ」とあるのに恋愛描写も深みがない。
一体、彼のあのドラマチックな音楽はどうやって生まれたのだろうか??
ピアノ協奏曲なんて本当に美しいのにその誕生エピソードがないなんて
ラフマニノフの映画のくせに的外れな感じだ。
さらに曲の使い方もストーリーと合っていない。

しかし、ラフマニノフについてひとつわかったことがある。
それは彼がどうしようもないほど根性なしだったということだ。
大好きな人を相手に「根性なし」というのはスワロにとってもショックなことだ・・・
だが、「交響曲第1番」の失敗で恋人に振られて以降、
ラフマニノフは本当にヘタレなのだ。
失意のどん底で催眠療法を受け「ピアノ協奏曲第2番」で大成功を収めるが、
従妹のナターシャと付き合っていながら学生と寝てしまうし、
演奏も思うようにうまくいかない、作曲もできない、と不貞腐れるだけで、
周囲に失礼な態度を取り建設的な解決方法を生み出そうとしない。
これがあの美しい曲を生み出した人物の姿なのかと思うとかなりショッキングだ。

極めつけは最後に出てきた一言――
「この作品は芸術的に創作したシーンがあり、事実とは異なる」――
じゃあ、フィクションにしてまで見せたかったラフマニノフの姿って一体!?

「天才作曲家セルゲイ・ラフマニノフの
あの“不滅の名曲”の誕生秘話が今明かされる」というキャッチコピー。
配給会社め!!

スワロ的評価:★
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こんにちは♪ TB、コメントありがとうございました☆

残念な作品でしたね。
演奏シーンも少なかったし。
ラフマニノフの人となりがよく分かりませんでした(^^;)

2008.05.08 08:36 URL | non #FXbBe/Mw [ 編集 ]

nonさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

あれではラフマニノフの生い立ちなんてわかりませんよね。
あの作品でラフマニノフに対して
誤解が生じるのではないかと危惧してしまうくらいです。
もっともっとうまい見せ方があったんじゃないかと思うと
本当に残念な作品でなりません。

  from swallow tail

2008.05.09 00:16 URL | non さんへ #- [ 編集 ]

スワロさん、こんにちは。
おぉ、スッパリと斬ってますね~。
でも、それも納得です。
なんていうか、ちょっと騙された感が…。
本当に、ラフマニノフがどういう人でどういう人生を歩んだのか、
この作品からはほとんど分かりませんでした。
気を取り直して『シャイン』を観るか、CDを聞いたほうがいいのかも。

2008.05.16 13:10 URL | Nyaggy #- [ 編集 ]

Nyaggyさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!

斬っちゃいました(照)
だってー!!
絶対に配給会社の吹聴ですよね!!
作品の奥行きを感じませんでした。
あらかたのラフマニノフの人生はなぞらえていたのでしょうが
表面的で、映画化する価値が果たしてどこにあったのか!?という感じです。

こうなったら泣きそうなほど素晴らしい演奏を聴きたいです。

  from swallow tail

2008.05.16 13:32 URL | Nyaggy さんへ #- [ 編集 ]













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