スワロが映画を見た

スワロが見た映画について感想を書いていきます。
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ヒトラーの贋札

原題:DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER
製作年度:2006年
製作国:ドイツ/オーストリア
上映時間:96分

監督:ステファン・ルツヴィツキー
原作:アドルフ・ブルガー
脚本:ステファン・ルツヴィツキー
出演:カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デーヴィト・シュトリーゾフ/マリー・ボイマー/アドルフ・チャップリン

あらすじ:
第二次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所。そこに各地の収容所から送られてきたのは、世界的贋造犯サリー(マルコヴィクス)、印刷技師ブルガー(ディール)、画学生のコーリャなどユダヤ系の技術者たち。彼らに課された使命は「完璧な贋ポンド札」を作ること。収容所内には秘密の工場があり、ナチス・ドイツは、そこでポンド札の大量贋造を行い、イギリスへ経済的打撃を加えることを狙っていたのだ・・・

第80回アカデミー賞<外国語映画賞>受賞

ヒトラーの贋札 公式サイト

感想:
ナチス・ドイツがイギリス経済の混乱を企て大量の贋札を製造したベルンハルト作戦。
原作はこの作戦に携わった
印刷技師アドルフ・ブルガーの「ヒトラーの贋札 悪魔の仕事場」。

このベルンハルト作戦というのはこの作品を見てはじめて知った。
世の中には自分の知らない歴史や事象がさまざまあり、
映画を見てこういうことを知ることができることは本当に貴重なことだと思う。
特にここ数年、ドイツはナチスの悲劇を積極的かつ誠実に映画化しており
新たな歴史の一幕や忘れてはならない歴史を観客に訴え続けている。

この作品もベルンハルト作戦をユダヤ人側の視点で描いており、
一部フィクションも加わっているが相当の緊張感を孕んでいる。

ベルンハルト作戦に参加させられたユダヤ人たちは非常に微妙な立場に立たされていた。
自分たちを虐げているナチスに加担して贋札を作るか、それとも正義を貫くか・・・
しかし、正義を貫けばその先にあるのは紛れもなく死であり、
しかも囚人である彼らには拒む権利もない。
自分や家族、仲間を苦しめるナチスの計画に協力することが
どれだけ彼らに苦悩をもたらしたことか計り知れない。

自分の理想と正義を貫き、贋札作りを拒否するブルガー。
命が惜しく贋札作りに協力する囚人たち。
その間で、生へ執着しつつも両者の理想や意見を尊重して贋札作りをまとめるサリー。

ブルガーの志は高潔だが、彼の行動はほかの協力者たちをも危険に晒している。
ほかの協力者たちも、良心の呵責に堪えながら
この作戦に協力せざるを得ない状況に置かれているのだと思うと、
その圧倒的な惨さに体中が苦しさを覚える気分だった。

一方、サリーはブルガーやほかの協力者たちとは
少し違ったスタンスでこの作戦に協力していた。
最初はオドオドしてドイツ軍におべっかを使っていた彼だが、
徐々に自分の贋札作りで力を発揮し、冷静に状況を見つめる。
言葉少なく、常にポーカーフェイスで振舞うサリー。
自らは生へ執着しているが、理想を持つことも尊重している。
静かだが、人にあたたかい愛情を注げる人間なのだ。
この過酷な状況で他人を思いやれるということはどんなに強い精神力を持っていたことか。

この贋札に携わった人々は、囚人としては異例の好待遇であり、
収容所内でも有刺鉄線に覆われた一角で生活していた。
しかし、板一枚の塀の外では常に同胞が惨殺され、死への恐怖は他人事ではない。
常にそういうピリピリした緊張感が存在しているため、
いくら虐待シーンが少ないからといっても、やはり精神的ストレスは相当ある。
見終わった後の緊張感の解けたため息は大きかった。

しかし、全体的に悲しく息苦しい雰囲気が漂う中、サリーの変化にちょっと感動も覚える。
そして、ラストに大量の贋札をカジノにつぎ込むサリーになんとなくさびしさも感じた。
こういう作品って事実だけを伝えようとしたら淡々としてしまいがちだけれども、
この作品はフィクションも加えて映画としてちょっとした楽しさもある脚本に仕上がっている。

やっぱり見て良かったと思った。





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スワロさんこんにちは。
外国語映画賞穫りましたね、この映画。

私もナチスのしてきたことは漠然と知っているけれど、こんなことがあったとは知らなかった。
生き抜くか、正義を貫くか。どちらにしても辛すぎる。

それはそうと、スワロさんもおっしゃってますが、こういう映画をドイツが自ら製作していることに意味があると思います。
これだけで歴史が変わるとも戦争が無くなるとも思いませんが、小さな一歩にはなるのではないかと祈るばかりです。

2008.03.10 12:25 URL | じんの 紗々 #4TUF.cSM [ 編集 ]

じんの 紗々さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

この作品、見れば受賞したのも納得の出来栄えでした。
近年、ドイツは『白バラの祈り』や『ヒトラー最期の12日間』など
ナチスの残虐行為を映画化していますよね。
過ちを認めるということはなかなか難しいことなのに
(日本の官僚はすぐに否定したり知らない振りするのにね)
自らがすすんでこういう事実を世間に知ってもらおうとする姿勢は
すごいことだと思うんです。
戦争体験者も高齢になり、事実を伝え続けることが困難になっていくかと思いますが、
これからも生の声を届けて欲しいですね。

それで、この作品は上記の作品とはちょっとテイストが違って
フィクションの部分もあるからドラマチックに描かれています。
ちょっぴり感動する要素があるのも映画として楽しい作品になっています。

  from swallow tail

2008.03.10 12:46 URL | じんの 紗々 さんへ #- [ 編集 ]

こちらもコメント残しときます
ナチは酷いけどアイデアは凄いです
良く思いつくよなと関心したりして
まあこんなセコイ作戦を使うのも結構行き詰ってたからでしょうか?
何も知らない囚人は可哀想でした
サリーは自分の技術を発揮できて、芸術家として誇らしく思ってた部分も有るように感じました。

2008.03.10 20:40 URL | くまんちゅう #TO.QWiMc [ 編集 ]

こんにちは。訪問ありがとうございました。v-222

まずは、祝!アカデミー賞受賞v-82
浅野さんは残念だったけど、あちらも期待できそうですね。日本でも話題になりそうな予感がします。

本作では、ブルガーの正義感も印象的でしたが。
私は、正義よりも皆で生き残ろうとしたサリーの姿が更に印象的でした。
もう平和ボケした日本で生きているので、もし自分だったら?という風に具体的に考えられないけれど。
勢いづかずに、少しでも長く生き延びられる道を選びたいなぁとボンヤリと考えてみました。
いい映画でしたね。v-254

2008.03.10 21:34 URL | となひょう #- [ 編集 ]

スワロさん、こんにちは。
映画としての面白さもあり、かつ史実を知り得、考えさせられる素晴らしい映画だったと思います。
生き延びたいと思うけれど友人は見捨てないサリーの振る舞いは、人として自然だと思えたし、その人間味に心惹かれましたねー。
カジノでのサリーの行いは確かにちょっと寂しいものだったかもしれないけど、あそこまで酷な体験をしてしまったら札束なんて・・・という冷めた気持ちになってしまうのも仕方ないのかなぁと・・。

2008.03.11 07:29 URL | かえる #- [ 編集 ]

スワロさん、こんばんはー。
暖かくなりましたね、今日はすっかり春でした。
いい季節です。

ピリピリとした緊張感がある映画でした。
理想に殉じるのでもなく、ただ生きることだけに固執するわけでもなく、サリーは理想を理解しつつ生も求めるという、とてもとても細い可能性を追っていたように思います。
ちょっとでも間違ったら仲間の命も自分の命も失ってしまうかもしれないという緊張感が伝わってきました。

2008.03.11 22:45 URL | はらやん #- [ 編集 ]

くまんちゅうさん、こちらにもコメント残してくださってありがとうございます!!
隊員の鑑です!

ナチスはユニークな(ユニークというにはあまりにも残酷なものもありますが・・・)
アイディアが結構ありますよね。
中には冷静に考えると呆気に取られるほどくだらなそうなものもあって
これが国家で計画した作戦なのかとビックリします。

この作品はナチの歴史的事実をひろく周知させた業績としてもすばらしいと思いますし、
映画として、登場人物の描き方も非常に巧みだったと思います。

  from swallow tail

2008.03.12 22:54 URL | くまんちゅう さんへ #- [ 編集 ]

となひょうさん、こんばんは。
コメントありがとうございました。
お返事が遅くなってしまってすみません。

戦争が舞台なのに重たさがあまりなく、その割りにメッセージ性が強い、
という受賞も納得の作品でしたよね。
脚本が素晴らしかったです。

とくに人物の描き方はうまかったと思います。
正義にもえるブルガーと、柔軟に生きようとするサリーの対立は
どちらの言い分もわかるだけに何ともいえないものがありました。

  from swallow tail

2008.03.12 23:09 URL | となひょう さんへ #- [ 編集 ]

かえるさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
お返事が遅くなってしまってすみません・・・
最近、自分のブログにもコメントが書けない事態に陥りまして・・・(涙)

最後のカジノでお金をつぎ込むシーンは寂しさを感じますが、
スワロはとても良いシーンだと思っています。
サリーが何かを吐き出すかのようにどんどんとチップを出していますよね。
映画の前後のカジノシーンは作品のよさを引き立てていますよね。

  from swallow tail

2008.03.13 18:42 URL | かえる さんへ #- [ 編集 ]

はらやんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
お返事が遅くなって申し訳ないです・・・

サリーって犯罪者には見えないくらい魅力のある人物でしたね。
他人との距離のとり方が近すぎず遠すぎず絶妙で。
ああいう距離感ってスワロも欲しいなぁ。
人間関係の悩みってこの年になっても尽きなくって(苦笑)

大きな波はなかったけれども、
全体的に静かな緊張感があったのも効果的でした。

  from swallow tail

2008.03.13 19:05 URL | はらやん さんへ #- [ 編集 ]













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