スワロが映画を見た

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ジェシー・ジェームズの暗殺

原題:THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD
製作年度:2007年
製作国:アメリカ
上映時間:160分

監督:アンドリュー・ドミニク
原作:ロン・ハンセン
脚本:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット/ケイシー・アフレック/サム・シェパード/アリー=ルイーズ・パーカー/ポール・シュナイダー/ジェレミー・レナー/ズーイ・デシャネル/サム・ロックウェル/ギャレット・ディラハント

story:
アメリカでもっとも有名な無法者ジェシー・ジェームズ(ピット)。1870年代、新聞はジェームズ・ギャングの犯行をセンセーショナルに書き立て、その中で彼は敬意と賞賛の的だった。貧しい庶民を食い物にする鉄道会社のオーナーや銀行をねらうロビン・フッドのようなイメージで描かれていたからだ。ロバート・フォード(アフレック)はそんなジェシーの最大の崇拝者だった。野心家のロバートはジェームズ・ギャングに加わり、ジェシーの右腕になりたいと夢見ていた・・・
感想:
しまった・・・
ジェシー・ジェイムズに関する予備知識がないために・・・
睡魔との闘いが繰り広げられていた!

既にこの作品のレヴューを書いているブロガーさんたちが言っている。
ジェシー・ジェイムズって誰?
ジェシー・ジェイムズの予備知識が必要。
おっしゃる通りで、きっと大学院まで卒業した人でも
彼のことを知っている日本人はそんなにいないのではないか。
西部劇にはよく出てくるようだが、日本では知名度の高い人物とは言いがたい。

ジェシー・ジェイムズもロバート・フォードも全く知らなかったため、
映画を見ていていささか説明不足に感じる部分が多々あった。
あんなに酷い悪事を働いていたのに、どうして英雄扱いされているのか・・・?
キーワードは「南北戦争」だった。
舞台は南北戦争敗戦後のミズーリ州。
ジェシーは南北戦争でゲリラ軍に属していた。正規軍ではなかったため、
終戦後に犯罪者として扱われ、その後もゲリラ時代に覚えた強盗で生活していた。
しかし、対象が金持ちの紳士だけであったり、南部の人間は対象外だったりしたことから
南部からは犯罪者として非難されるどころか、むしろ支持的な人間が多かったようだ。

そんなジェシーに憧れを抱いていたロバート・フォード。
本作は憧れの存在であったジェシーを後ろから撃った廉で
卑怯者と罵られたロバートに焦点を当てた作品だ。

歴史では「ジェシー・ジェームズを殺した男」としか脚注がない男、ボブ。
彼にとってジェシーは新聞の切抜きを集めたり、
彼との類似点を探して喜んだりするほどの憧れの存在だった。
そんな憧れの対象は殺しの対象へと変化した。

では、一体どうしてボブはジェシーを殺したのか。
その理由はあまりにも複雑だった。
一番の動機は自分が殺されるという恐怖とジェシーにかけられた懸賞金だろう。
しかし、それだけではない。
何てったって、ジェシーは子どもの頃からの憧れの存在、崇拝者なのだから。

先日見た『チャプター27』のチャップマンも憧れの存在であるジョン・レノンを殺害した。
彼の場合は愛憎の最たる事件だった。
ボブはチャップマンよりもっと精神的にタフで計算高い男だったようだ。
「みんなに嫌悪されているジェシー」を殺すことで自らが英雄に取って代わろうとした。
しかし、ジェシーは本物の英雄だった。
ボブは計算違いをしたようだ。

この作品でとてもよく描かれているのが人間の脆弱性だ。
タフな人ほど実は脆い。
大胆な犯行を重ねていたジェシー。
殺人まで犯す犯罪を犯したが、家庭ではよき夫・優しい父であった。
残忍な自分と優しく誠実な自分の狭間でゆれていくジェシー。
猜疑心や恐怖心に苛まれ、異常な感情の起伏があったようだ。

一方、ボブもタフな人間だった。
周囲から間抜けと言われるほど冴えない男だったが、
ジェシーに対する粘着質の憧れと期待で彼の側につく。
遠くで美しく見えるものは、近くで見ると実は汚いこともある。
ジェシーに近づき、自分が想像していたほど彼は崇高な存在でないことを知り、
ジェシーはもはや崇拝するではなくなった。
しかし、ジェシーの感情の起伏と時々野獣のようにギラつく視線のおかげで
ボブもまた彼に対し嫌悪したり崇拝したり、ジェシーという人物を見失いそうになっていた。
そして、富と名声に自らが負けてしまった。
さらに、彼を自らの手にかけ彼を永遠に自分の中に息づく感覚を得ようとしたのではないか。

ジェシーを演じたブラッド・ピット。
最近の彼は神がかり的な演技を見せてくれるが、本作もまたすばらしい演技だった。
狂気に蝕まれるジェシーを好演していた。

しかし、それ以上に素晴らしい演技を披露してくれたのが
ボブを演じたケイシー・アフレック。
強欲で名声を欲する血気盛んな一面と、繊細で傷つきやすい一面を持つ
複雑な役どころを見事に演じてくれた。

作品は「ボブがジェシーを暗殺する」という前提で作られているため、
サスペンスのようなハラハラする要素や娯楽映画様の大きな山場はない。
あくまでも二人の心理を淡々と描出した作品になっている。
160分はこの二人の素晴らしい演技を堪能するには十分すぎるくらいだ。

ジェシーとボブ。
二人の異なる狂気と繊細さが悲しく複雑な事件を引き起こした。

スワロ的評価:★★★





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こんばんわ。
こちらにコメント失礼いたしやす。

これねえ・・・すごく惜しい作品よね。
ヴェネチア国際映画祭でウケの良さそうな
詩的というか、アート的というか
・・・そんな作品でしたよね。

こういう男と男の複雑な心理交差みたいな
ドラマって今までも結構あったから、意図は
分かるし、伝わってくるものもあるけれど
・・・でもやたら長くて眠かったわ(苦)。

それにしても、あのケイシーさんは、
もともとああいう変わった口調なのかしら?

そういえば、今日『アース』を観に行ったら
やたら親子連れが多くて。
隣の席のママさんに、私のヒザ上に
ポップコーンぶちまけられて驚きました。
ちなみにその子供は「あああ!こぼした!」
ってキャーキャー言ってました。

2008.01.13 01:25 URL | 睦月 #- [ 編集 ]

睦月さん、おはようございます。

>隣の席のママさんに、私のヒザ上にポップコーンぶちまけられて驚きました。
>ちなみにその子供は「あああ!こぼした!」ってキャーキャー言ってました。
なんじゃそりゃー!!
ちょっとちょっと・・・
せっかくの感動的作品なんだから落ち着いてみようよ!いや、見せてくれよ!!
って感じですね。
やっぱり子供づれだと否が応でも観賞マナーが下がってしまいますね。
スワロは『JJの暗殺』見ているときに何度も携帯電話がなっている人がいました。
最初、彼はスルーしていましたが、
後半の緊迫した場面になって突如電話に出てしまった!!
「あ、はい。お疲れ様です!・・・ええ・・・」
なんて至極普通に会話している・・・(呆)
前横後ろだったら絶対に注意したけどちょっと遠かった。
こっちは観賞前のマナームービーも理解できるイイ大人・・・

  from swallow tail

2008.01.13 09:35 URL | 睦月 さんへ #- [ 編集 ]

スワロさん、こんばんは~☆

コメントありがとう♪
これ、おっしゃる通り役者たちの演技が良かったですね。
内容は、評論家受けしそうだな。という印象、
もうちょっとせめて短くまとめてくれたら良かったのにって思っちゃいまいした。
前半がたらたらすぎたなぁ~
v-39

2008.01.13 22:52 URL | mig #- [ 編集 ]

migさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

>内容は、評論家受けしそうだな。という印象
そうですねー(笑)
ハリウッドらしからぬ叙情的な作品でした。
こういうしっとりした作品はあまり見かけませんものね。

やはりみなさん「長い」と感じられたようですね。
J・Jについて知っている人は面白く見られたのか・・・
が気になるところです。

  from swallow tail

2008.01.14 11:31 URL | mig さんへ #- [ 編集 ]













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ジェシー・ジェームズの暗殺/The Assassination of Jesse James ~
原題の長さに負けず劣らず、作品自体も長~っ{/atten/} ほんとはこのあとにby the Coward Robert Ford がつきます{/ase/} ここ数年プロデュース業にも意欲的で、今回も製作を務めるブラッド・ピットが、 伝説の無法者ジェシーを怪演してヴェネチア国際映画祭では主演男

2008.01.13 22:52 | 我想一個人映画美的女人blog

ジェシー・ジェームズの暗殺(試写会)
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆  英雄の価値  

2008.01.14 02:12 | カリスマ映画論

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