スワロが映画を見た

スワロが見た映画について感想を書いていきます。
劇場映画、DVD、新作、旧作問わず映画のレビューを書きます。
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パンズ・ラビリンス

原題:EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH
製作年度:2006年
製作国:メキシコ/スペイン/アメリカ
上映時間:119分

監督:ギレルモ・デル・トロ
製作指揮:ベレン・アティエンサ/エレナ・マンリケ
原作:――
脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ/セルジ・ロペス/マリべル・ベルドゥ/ダグ・ジョーンズ/アリアドナ・ヒル

story:
1944年のスペイン。1936年に勃発した内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧政に反発。各地で紛争が繰り広げられていた。おとぎ話が大好きな少女オフェリア(バケロ)は、臨月を迎えた母親カルメン(ヒル)とともに、継父であるビダル将軍(ロペス)が駐屯地へと向かう。そこは政府対ゲリラの紛争が続く山奥だった。道中、オフェリアは不思議な彫刻が施された石を見つける・・・

感想:
残酷で美しい物語。
胸が痛くて涙が出そうなのに、出ない。

実は、本作はのことはあまり知らなかった。
予告編でちらっと見る限りではファンタジーだと思ったのでパスするつもりでいた。
主人公も子どもだし、きっと子ども向けの作品なんだろうって。
でも、実はアカデミー賞受賞作品だし、
映像がとても素晴らしい作品だと知って観賞に至った。

ダーク・ファンタジーという本作。
ハリウッドではまずお目にかかれない作風だ。
しかし、ダークというには哀しすぎる気もする。
すごく切なくて・・・切なすぎて胸が痛んだ。

傷つきやすい子どものこころ。
繊細でもろい。
そんな危なげな子どもも空想の世界ではたくましく生きる。

続く内戦では父を失い、それでもまだあちこちで血が流れている。
夫を失った母は一人ではあまりにも寂しすぎて次の伴侶を見つける。
新しい父親は残忍で乱暴。
オフェリアは自分自身を取り巻く様々なものに傷ついていた。

『ローズ・イン・タイドランド』でも子どものこころのあやふやさについて触れたけど
本作のオフェリアも外の世界から自分自身を守るために空想の世界に身をおいた。
それが“パンズ・ラビリンス”だ。
パン(Pan)はギリシア神話に登場する神で、羊飼いと羊の群れを監視する神だそう。
パンはとても悲しい運命を辿った神のようだ。

―――半獣人であるがゆえ、好きになった妖精シリンクスに怖がられ、
やっとの思いで捕まえた瞬間、シリンクスは葦へと変わってしまった。
悲しみにくれたパンは葦で笛を作り、毎日、夕方になるとその笛で美しい曲を奏でた―――
また、パンはパニック(panic)の語源となっている。
午睡が好きなパンはその最中に誰かが物音を立てて安眠を妨げると機嫌が悪くなった。
恐ろしいうなり声を上げ石を投げると羊たちは荒れ狂い羊飼いたちも恐れおののいたという。

作品中でも、牧神パンは不気味に描かれていた。
鋭い目、大きな角、不潔そうな身なり・・・
近寄りがたい雰囲気を発しているのに、オフェリアは臆することなくパンに近づいていった。
どことなく惹かれるものがあるのだろうか。
「あなたは魔法の国の王女に違いない」
そう言われたオフェリアは、戸惑いや困惑よりも
好奇心や嬉しさの方が勝っていたことは想像に難くない。
現実の世界でオフェリアを必要としている人間はいただろうか。
魔法の国では自分は必要とされている――
血が流れる残酷な世界や人々から無視される世界から離れて、
自分がいきいきと輝ける世界に足を踏み入れられるなら
3つの試練など試練ではないはず。
試練に立ち向かうオフェリアの表情はとてもいきいきとしていた。

と偉そうなこと書いているけど、このオフェリアが地下の国へ行ったり、
パンと話している様子が空想の世界だったと気づいたのは
映画を見終わったずっと後だ。
いや、むしろこれも一つの実在する世界だろうと疑わなかった。
そのくらい映像は鮮明でリアル。
ものすごい説得力があって、とても非現実社会だとは思えなかった。

物語の一部には拷問や惨殺などファンタジーとは程遠いシビアなシーンも多い。
だからこそ、空想世界が引き立つのかもしれないが。
救いようのないほど哀しいラスト。
だけど、死後、思い描いたラビリンスにたどり着いたオフェリアは幸せそうにも見えた。
死をもってしか味わえない幸福・・・
オフェリアにとって死は何をもたらしたのだろうか。

この作品は十分観る価値があった。

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こんばんは!Cnoteのkenkoです。
うちのブログにTBコメントいただきましてありがとうございました。

この作品、ビジュアルだけでもたぶん充分満足だったと思うんですけど、
ストーリー面も予想以上に凝ってて秀逸で
デルトロ作品の中でも一気にいちばんのお気に入りとなりました。
ダークファンタジーというカテゴリーには納まりきらない作品でしたよね。

連想される作品として挙げられている『ローズインタイドランド』は未見なので、
近いうち観とかなきゃと思っております。

ではまたお邪魔しまーす
今後ともどうぞよろしくです☆

2007.10.21 01:27 URL | kenko #Ngw0MIHM [ 編集 ]

こんばんわ。

現実の出来事と、幻想世界を平行させて展開しながら、全く違和感なく描いていたあたりはホントに巧いなあと思いました。

ダークファンタジーって、いろいろ観てきた気がするけれど・・・でもこんなに悲しくしんどい余韻を残す作品は初めて観た気がします。

現実逃避をするためにファンタジーってあるのかとおもっていたけれど。
この作品は現実を目の当たりにするためのファンタジーって気がしました。

2007.10.21 02:32 URL | 睦月 #- [ 編集 ]

kenkoさん、おはようございます。

『ローズ・イン・タイドランド』もオススメですよ。
子どもの心の描写がすごく過激でリアルで・・・
子役の子もすごく可愛くて演技力があるし!

kenkoさんはデルトロ作品の中で本作がお気に入りになったんですね。
・・・スワロは他の作品は未見です・・・
ぜひ、チャレンジしたい!

ところで、『うる星やつら』一気に17巻まで読破されたんですね・・・
スゴイ。
ちなみにスワロは小学生の時に『らん馬1/2』を集めていました。

  from swallow tail

2007.10.21 08:48 URL | to kenko さん #- [ 編集 ]

睦月さん、おはようございます。

そうそう。
オフェリアの空想シーンと現実の内戦シーンがうまく絡み合っていて
すごく憎らしいなぁと感じました。
そしてそういう演出があったから
余計にオフェリアがおとぎ話の世界に没頭していくことを辛く感じました。

姐さん、忙しそうですね。
さいきん急に冷え込んできて風邪をひいている人も増えました。
姐さんも体調には気をつけてくださいね。

 from swallow tail

2007.10.21 08:54 URL | to 睦月 さん #- [ 編集 ]

スワロさん、こんばんは♪
お久しぶりです。TB&コメントありがとうございました。
なんだか色々とお忙しかったみたいですね~。
復活されたみたいで、嬉しい限りです。

虫と痛さに怯えつつも、本作はお気に入りの作品になりました。
ラストシーンはどうとでも取れそうな感じなんですが、
あえて曖昧でもいいような気がしちゃいますね。
単純なファンタジーではなくて、哀しくて美しい、その絶妙な感じが良かったな。
『ローズ・イン・タイドランド』は未見ですが、興味あります~。

2007.10.21 20:30 URL | Nyaggy #- [ 編集 ]

Nyaggyさん、こんばんは。
お返事が遅くなってしまってごめんなさいっ。

『ローズ・イン・タイドランド』も結構オススメです。
あの不思議な感覚が何とも言えませんね。
このコメント欄には書ききれないくらい興味深い映画なので
ぜひぜひご覧になってみてください。

スワロも『天国の口、終わりの楽園』は絶対に見ますよ!!
だって、ガエルくんがっ!!
それに、ディエゴくんも『ダンシング・ハバナ』以来ご無沙汰してるんです。

  from swallow tail

2007.10.23 18:19 URL | to+Nyaggy+さん #- [ 編集 ]

先日はご来訪ありがとうございました
お礼参りというわけでもないですが

この映画、評判がいいので電車でわざわざ一時間半かけて観にいったのですよ。でも後にぐっと近所の劇場でもやることが決まって、ちょいとがっくり来ました(笑)

>パンと話している様子が空想の世界だったと気づいたのは
>むしろこれも一つの実在する世界だろうと疑わなかった

わたしも少なくとも映画の中の世界には、妖精の国があったのだと思います。でなければ、ラストシーンで例の木の花が咲いたりはしなかったでしょう

2007.12.19 22:08 URL | SGA屋伍一 #TyXokUWg [ 編集 ]

SGA屋伍一さん、こんばんは。

そうそう。
昨年度のアカデミー賞で美術賞を受賞したということで結構注目されていましたよね。
スワロも「アカデミー獲ったんだー」くらいのミーハー気分で見に行きましたよ。
スワロも贔屓の映画館の一つで上映されていましたが、
正直、そんなにヒットしていたとは思えません・・・

>でなければ、ラストシーンで例の木の花が咲いたりはしなかったでしょう
うん・・・まぁ、このシーンは雰囲気を盛り上げるための
超脚色だと捉えたほうがいいと思います。
ラストなのでやはりきれいに収めたい。

それにしても、今となってはあまり記憶に残らない作品だったなぁ・・・

  from swallow tail

2007.12.20 00:19 URL | SGA屋伍一 さんへ #- [ 編集 ]













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『パンズ・ラビリンス』
監督:ギレルモ・デル・トロ CAST:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス 他 アカデミー賞美術賞、メイクアップ賞、撮影賞 他受賞 1944年、内戦終結後も荒れるスペイン。父...

2007.10.19 20:20 | Sweet* Days**

パンズ・ラビリンス
監督・脚本: ギジェルモ・デル・トロ キャスト: イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ ダグ・ジョーンズ アリアドナ・ヒル アレックス・アングロ 2006 メキシコ スペイン アメリカ ■Story

2007.10.21 20:23 | And life goes on... movie etc.

パンズ・ラビリンス
ずーっと前からむちゃくちゃ楽しみにしていたギレルモ・デル・トロ監督最新作『パン

2007.10.21 23:04 | C note

パンズ・ラビリンス
【映画的カリスマ指数】★★★★☆  現実という迷宮で彷徨う心の行方  

2007.10.23 20:25 | カリスマ映画論

映画「パンズ・ラビリンス」
原題:Pan\'s Labyrinth この映画での"PG-12"の意味は、成人保護者同伴で小学生を映画館に連れて行って、是非観せてあげてくださいという意味に違いない・・教育指導的お伽噺・・ オフェリア(イバナ・バケロ)は、身重の母カルメン(アリアドナ・ヒル)に連れられ

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2008.10.17 12:34 | cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー

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